図柄表:ルイ=フィリップ1世
図柄裏:植物装飾
発行地:フランス王国パリ造幣局
発行年:1840年
彫刻師:Jacques-Jean Barre
銘文表:LOUIS PHILIPPE I ROI DES FRANÇAIS,
銘文裏:REFONTE DES MONNAIES DE CUIVRE 5 CENT. ESSAI
額 面:5サンチーム
材 質:青銅
直 径:27.5 mm
重 量:7.5 g
分 類:Guilloteau-2917; Mazard-1145; Gadoury-145a
状 態:NGC MS63 BN
備 考:ESSAI(試作貨), R1(推定200枚以下)
フランス王国パリ造幣局でルイ=フィリップ1世の治世下1840年に試し打ちされた5サンチーム試作青銅貨。LOUIS PHILIPPE I ROI DES FRANÇAIS(フランス国民の王)、REFONTE DES MONNAIES DE CUIVRE(銅貨の改鋳)というフランス語銘文が記されている。
当時、小額面の銅貨を仏領カリブ海諸島で流通させる構想があり、そのために試作された。だが、結局構想段階で終わり、本貨が正式発行されることはなかった。開発途中の試作貨であることを示すため、年号を刻印するスペースにESSAI(エッセイ)という試作貨であることを示すフランス語が打たれている。ルイ=フィリップの肖像の首元の下部には、彫刻師バールの名と試作した1840年という年号が打たれている。NGCのラベル表記では1839年となっているが、こちらは誤表記であり、正しくは1840年である。
ルイ=フィリップはクーデタを起こし、シャルル10世及びアンリ5世から王位を奪った。彼は「フランスの王」ではなく、「フランス国民の王」として迎え入れられ、人々は彼に大きな期待を抱いた。だが、その統治はブルジョワと癒着して私腹を肥やすもので、庶民の貧しい生活は何も改善しなかった。次第に民衆の心は離れていき、支持率の低下を危惧したルイ=フィリップは、英雄ナポレオンにあやかって人気取りを企てた。だが、それは一時的な応急処置に過ぎなかった。ルイ=フィリップの支持率低下はその後も止まることはなく、民衆の怒りはついに頂点に達した。1848年革命の勃発である。追い詰められたルイ=フィリップは、イギリスへの亡命を余儀なくされた。